2009年01月15日
売買代金を請求する場合について(その2)
昨日の続きです。
あなたが先に財産権(物)を渡したのに、支払いがなされなければ当然の事
ながら相手に対して代金の請求をするか、さもなくば財産権(物)の返還を
請求するでしょう。しかし、財産権(物)が既に存在しない場合にはやはり
金銭を請求せざるを得ないでしょう。
相手方が素直に払ってくれれば何の問題もないのですが、相手が開き直った
時には普通の交渉で金銭を回収するのは非常に困難と言うしかありません。
この様なご相談があった場合、相手方のそれまでの対応にもよるのですが、
まず内容証明にて金銭の請求をする事になります。
当事者間では拗れて解決しない問題も第3者が入る事で案外解決してしまう
事が多いのも事実です。
しかし、なかには誠意ある対応をせず開き直るタイプの人間もいますので
この場合には已む無く訴訟手続きでの回収を選択せざるを得ません。
そこで訴訟をするにあたり何か証拠が必要な事はTV等でご存知でしょう。
では、何が証拠になるのでしょうか?
ここで思い出して欲しいのは、昨日書きました民法555条の規定です。
この条文を簡単に要約してみると
(民法555条)
財産権を移転する事を約し、代金を支払う事を約することで効力が生じる。
これを素直に読むと約束だけでOK!であり、財産権または金銭の移転は
不要である。と解釈出来ます。しかしながら、大根1本を買う場合でも
「売って下さい。」「売りましょう。」と言う約束のみで大根も金銭も
それぞれ手元からそのまま動かないと言うのは普通考えられません。
そこで訴訟でも
①売って下さい。(例えば、メール・FAX等での注文)
②売りましょう。(例えば、持参・郵送等での引き渡し)
③②のみでは相手に財産権が到達したか不明なため受領したことを証する書面
以上のものが揃っていないと訴訟を起こすのが難しいのです。
これ以降につきましてはまた明日に書かせて頂きます。